研究課題/領域番号 |
20K17584
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
井上 寛章 徳島大学, 病院, 助教 (20792378)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳癌 / 腫瘍免疫応答 / センチネルリンパ節 / マウス乳癌同所移植モデル / 個別化T細胞治療 |
研究実績の概要 |
本年度は、乳癌患者検体を用いて腫瘍浸潤リンパ球 (TILs)とセンチネルリンパ節(SLN)・non-SLNでの免疫細胞や免疫制御マーカーのプロファイルの違いを解析し、SLNが腫瘍特異的抗原を認識しているかどうかを検証することを目的としていた。具体的には免疫細胞や免疫制御マーカーの比較:TILs、SLN・non-SLNにおける樹状細胞、B/T細胞、免疫制御マーカーの免疫染色を行い、①SLN転移(+)群 vs. SLN転移(-)群での違い②TILs高値群ではTILs vs. SLN vs. non-SLNでの免疫応答を比較③TILs低値群ではSLNとnon-SLNを比較し免疫応答がSLNで確認できるか検討④サイトカイン・ケモカイン測定を行う予定であった。現在患者検体、患者情報を集積し、HE染色にてTILsの評価まで終了した。TILs高値症例が予想していたよりも少ない印象であった。腫瘍とセンチネルリンパ節、nonセンチネルリンパ節それぞれの免疫染色(CD4、CD8、PD1、PD-L1など)を準備している。現在免疫染色の手技の獲得、評価方法について調整を行っている段階である。免疫染色を用いた今回の評価は本研究において非常に重要な部分となってくるため、その準備を慎重に行っている。免疫染色に加え、TCRレパトア解析まで予定をしていたが、現段階では行えていない。今後、免疫染色の結果がそろった後に行い、腫瘍特異的なTCRをSLNが認識しているか網羅的に解析したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TILs高値の症例が予想していたよりも少なく、症例の選定に少し時間を要した。また、免疫染色の手技、評価方法ついて慎重に対応をしているため予定より時間がかかっている。同時にコロナウイルス感染患者拡大に伴い臨床面での多忙も研究が遅れている原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では免疫染色の部分がまずは非常に大事なポイントと考えている。手技の獲得と安定した評価が重要であるため、準備ができれば実際の症例での評価を進めていきたい。腫瘍とSLN・non-SLN での免疫担当細胞や免疫制御マーカーのプロファイルを解析。TILs低値の原因を探索するとともに組織検体とSLNをTCRレパトア解析し、腫瘍特異的TCRをSLNが 認識しているか検証する。 1)免疫細胞や免疫制御マーカーの比較:TILs、SLN・non-SLNにおける樹状細胞、B/T細胞、免疫制御マーカーの免疫染色を行い、①SLN転移(+)群 vs. SLN転移(-)群での違い②TILs高値群ではTILs vs. SLN vs. non-SLNでの免疫応答を比較③TILs低値群ではSLNとnon-SLNを比較し免疫応答がSLNで確認できるか検討④サイトカイン・ケモカイン測定。2)TCRレパトア解析:1)において腫瘍とSLNのプロファイルが類似しているTILs低値群の腫瘍とSLN(各n=4、計n=8)のPPFEサンプルを用いる。次世代シークエンスによるTCRレパトア解析を行い、腫瘍特異的なTCRをSLNが認識しているか網羅的に解析する。その後、マウス乳癌同所移植モデルを作成し、SLNを同定。リンパ節転移モデルを作成し、マウスiPS細胞からNKT細胞への分化・誘導を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例の選定、手技の習得に時間を要したため、未使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて、抗体などの試薬購入、次世代シークエンス費用などに使用予定である。
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