研究実績の概要 |
私たちはこれまでに、網羅的マイクロRNAプロファイリング解析により、乳癌のサブタイプを特徴づける分子として、マイクロRNA、miR-1290を同定した。このmiR-1290の乳癌に対する薬物療法抵抗性とがん細胞増殖への影響を解析し、核酸医薬品としての臨床応用を目指すことを目的としている。 これまでに乳癌患者約100例の血清からRNAを抽出し、分泌型miR-1290発現を測定した。分泌型miR-1290発現と乳がんの予後との相関を検討したところ、Disease-free survival, Overall survivalともに有意な差は認めなかった。今回、組織のmiR-1290と分泌型miR-1290との相関も検討したが、相関関係を認めなかった。 また、乳癌細胞株にmiR-1290のmimicを導入し、miR-1290発現と増殖能の変化を検討したところ、Negative controlを導入した細胞に比較して、miR-1290のmimicを導入した細胞は、増殖能が低下した。 miR-1290の増殖抑制について検討するために、増殖に関与する遺伝子発現との相関等を検討した。miR-1290の発現とCCND1の相関を検討したところ、miR-1290発現が高いほどCCND1の発現が低値であった(p<0.0001) 。また、miR-1290発現とMKI67の相関を検討したところ、有意な相関は認めなかった(p=0.34) 。
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