研究課題
2020年度では、低出生体重児の人工肛門閉鎖術を対象として消化管吻合のトレーニングモデルを開発し、その表面的および構成概念妥当性評価を科学的に行った。まずwetモデルとdryモデルの、素材の違う2種類の腸管モデルを開発した。ブタ腸管を工業用CTでスキャンし、粘膜面の形状を取得し、その3Dデータを基に低出生体重児のストマ閉鎖時の腸管のサイズを模した模擬腸管を開発した。複数の小児外科医に実際に吻合を行ってもらい、表面的妥当性評価として、実施後にアンケート調査を行ったところ、wetモデルはdryモデルと比較して、『外観』、『軟らかさ』、『総合的なリアリティ』、『練習に有用』の項目で有意に評価が高かった。また、構成概念妥当性評価として、リークテストを行った際の吻合部リーク圧を計測したところ、wetモデルにおいて、吻合部リーク圧が手術経験数と有意な相関を示したが、dryモデルでは相関は認めなかった。これは経験者ほどリークしにくい吻合ができることを示しており、wetモデルの構成概念妥当性を証明している。2021年度は上記研究結果を学会、論文報告し、多機関共同研究の準備を行った。2022年度では、東京大学を含む2機関にてwetモデルを用いて実際の若手小児外科医にトレーニングを行ってもらい、実際に手技が上達するかを検証した。若手医師5名を対象に、上級医1名を助手としたトレーニングを週1回のペースで6回実施した。吻合後の平均リーク圧は、トレーニング前後で3.2 hpaから7.2 hpaに有意に上昇した(p = 0.04)。2023年度は上記内容を4月の日本外科学会のワークショップにて発表した。また、初期の5名オの被験者の臨床での手術成績を調査し、今後、学会発表を予定している。さらに、多機関共同研究を進め、3機関で3名の新規被験者のトレーニングを実施した。
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