本研究は高活性NK細胞製剤の小児悪性固形腫瘍に対する効果を検証する前臨床試験である。 申請者と実験協力施設である九州大学薬学研究院革新的バイオ医薬創生学講 座で開発された高活性NK細胞(商標名Adoptcell○R -NK)は簡便な手法で高活性かつ高容量のNK細胞培養を可能としている。 ヒト末梢血単核球から培養工程を経て得られた高活性NK細胞をヒト神経芽腫細胞株(IMR-32)、ヒト骨肉腫細胞株(HS-OS-1)、ヒト繊維形成性小円形細胞細胞腫瘍株(JN-DSRCT-1)、ヒト肝芽腫細胞株(Huh-6)、ヒト横紋筋肉腫細胞株(Rh-30)を3D培養して得られた細胞塊(sphere)と共培養した。いずれの細胞株においても、PKHで標識した高活性NK細胞が細胞塊内への浸潤・集簇し、細胞塊を破壊するとともに細胞死の誘導を確認することができた。 また、上記のアッセイ中にIL-2を併用することによって、高活性NK細胞の細胞株への効果は上乗せされることから、IL-2投与における相乗効果が期待できる結果であった。 in vivoにおいては、免疫不全マウスにヒト神経芽腫細胞株(SK-N-SH)を皮下移植して作成したモデルマウスにおいて高活性NK細胞の静脈内注射によって腫瘍の縮小効果を認めた。この結果を受けて今後、本研究者は小児悪性固形腫瘍に対する国産型革新的養子免疫治療の医師主導治験を計画していく予定である。
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