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2020 年度 実施状況報告書

直腸癌術前化学放射線療法前後の免疫担当細胞のプロファイリングに関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K17600
研究機関北海道大学

研究代表者

吉田 雅  北海道大学, 大学病院, 特任助教 (70772333)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード直腸癌 / 放射線化学療法
研究実績の概要

直腸癌の標準治療である術前化学放射線療法(neoadjuvant chemoradiotherapy; 以下、NACRT)の効果を高めるために抗腫瘍免疫応答の活性化が重要である。一方、近年2型糖尿病治療薬であるMetforminの内服歴がある患者は、各種癌の罹患率が低く、予後が良好である。Metforminの抗腫瘍効果の一因として、宿主の抗腫瘍免疫を賦活化し、また、放射線治療においてはその感受性を改善させる効果が報告されている。今回、NACRTにMetforminを併用することで直腸癌病理学的完全奏功割合(pathological complete response; 以下、pCR)を向上させるとの仮説のもと臨床試験を考案した。本研究ではMetforminを併用したNACRT治療前後の病変部直腸腫瘍組織検体および末梢血液検体を採取し、免疫状態のプロファイリングを行い、治療効果との関連性を検討した。本年度は、「非糖尿病患者を対象とした局所進行直腸癌に対するメトホルミン併用術前化学放射線療法の安全性・有効性を検討する多施設共同臨床第I/II相試験(略名: RC-COMET Study)」に参加を承諾した患者の直腸腫瘍組織および末梢血液検体を採取した。ヒト臨床検体の解析に先立って、in vitro細胞培養系、マウス大腸癌モデルにおいてMetforminの抗腫瘍効果、免疫プロファイリングを行った。Metformin併用NACRTによる免疫担当細胞のポピュレーション変化および機能変化などの免疫調節機構を解明することで、治療効果を予測する免疫学的因子を同定し得ると考える。また、臨床試験においてMetformin併用NACRTによるpCR割合の向上および臨床予後の改善が確認されれば、今後術前治療の選択肢の一つとなる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナウィルス感染症の流行に伴い手術件数が減少し、臨床試験の参加登録が遅延しており症例の集積に時間を要している。今後はRC-COMET studyの参加登録を推進しつつ、同時にin vitro細胞培養系とマウス担癌モデルでのMetforminによる抗腫瘍効果および免疫制御機構の解析を進め、ヒト臨床検体の解析に応用したいと考える。

今後の研究の推進方策

RC-COMET studyの登録症例を蓄積し、得られた検体サンプルを用いて免疫染色やフローサイトメトリーによる免疫担当細胞のポピュレーション解析を行う。また、検体サンプルから各種免疫担当細胞を単離し、サイトカインや細胞傷害性分子の発現度を検討し、免疫担当細胞の機能変化についてMetformin投与前後およびNACRT治療前後で比較検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

臨床試験RC-COMET studyの症例登録遅延から、臨床検体の解析が進んでおらず、予算の執行が遅れている。今後は臨床試験の症例蓄積に伴い、検体サンプルの免疫染色やフローサイトメトリー、ELISA法やPCRを行う予定であり、次年度の予算を計上した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 大腸がんの肝転移巣形成モデルにおけるメトホルミンの抗腫瘍効果2021

    • 著者名/発表者名
      木村沙織, 本間重紀, 志智俊介, 沢田尭史, 杉山 昂, 松井博紀, 今泉 健, 宮岡陽一, 江本 慎, 市川伸樹, 吉田 雅, 北村秀光, 武冨紹信
    • 学会等名
      第121回日本外科学会学術定期総会

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公開日: 2021-12-27  

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