肝細胞癌に対して肝切除を行った症例の摘出標本の肝細胞癌の部分と背景となる正常な肝組織の部分の組織サンプルを手術終了後に収集し、シングルセル解析を300例に対して行った。さらに肝細胞癌の症例において、その切除後の肝細胞癌組織の病理学的特徴とシングルセル解析結果を照らし合わせることにより、病理学的特徴の意義の解明とそれに基づいた患者予後の改善を目指した統合的解析を行った。対象症例としては病理学的特徴の有無を問わず、手術を行った症例全例を対象として解析を行ったことになる。これらの結果により、肝細胞癌の患者の治療方針決定や予後の改善に寄与するような研究成果が得られたと考えられる。 今後はこれらの結果をもとに再発予防のための術後補助化学療法が必要な症例の選択や肝細胞癌の進展様式や再発様式の解明に寄与する研究を継続して行っていく。さらに症例を蓄積し、腫瘍栓などの病理学的特徴を有している症例の病態の解明、新しい治療法の開発を目指す。 この研究により得られた知見は中国など一部の地域を除き、世界的にも他に類を見ない成果となり、肝細胞癌を有している患者の予後を改善するという目的を果たすことができる。さらには、肝切除を行った症例の予後と合わせて解析を行うことにより、患者の予後を規定する新しい肝細胞癌のマーカーを同定することが可能となり、予後が不良な患者群をこのマーカーを測定することにより同定することができるようになtってくる。
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