自然免疫機構の一つとされるcGAS-STINGシグナルは抗腫瘍機構においても免疫促進作用を有することが知られている。本研究課題では膵臓癌組織検体中のシグナル活性化レベルを解析し、その増強に基づく新規治療戦略の提案を目的とし検討を進めた。膵臓癌症例の約50%でcGASおよびSTING両方の発現が観察され、活性が維持されていた。また、そのシグナル活性と細胞傷害性T細胞の間質-腫瘍組織への浸潤レベルには正の相関が認められ、更に癌関連線維芽細胞の性質にも相違を認めた。以上のことから、癌細胞を取り巻く癌関連線維芽細胞自身の性質もまた腫瘍免疫効果を担う細胞傷害性T細胞の浸潤に関与する可能性が示唆された。
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