研究課題/領域番号 |
20K17612
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 倫明 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (40848206)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 排便機能 / 肛門形態 / 3次元モデル / 肛門圧測定 / 低位前方切除後症候群 / 直腸癌 / AI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、直腸癌手術後に起こる排便機能障害(低位前方切除後症候群:LARS)のメカニズムを解明することである。肛門機能と形態を画像や肛門圧測定器を用いて肛門機能を定量化する研究を、倫理委員会の承認を経てデータ収集体制を整え、実際症例集積を行っている。 直腸癌手術の術前治療として放射線化学療法が欧米を中心として普及しているが、術後の排便機能の低下が懸念される。一方で術前化学療法が排便機能に与える影響は不明であり、術前化学療法を行った直腸癌患者の排便機能を経時的変化を解析した(現在論文投稿中である)。 患者ごとによって異なる肛門形態・筋肉容量を3次元で解析するソフトの開発を行ってきた。直腸癌患者と健常人(74人)の後ろ向きに収集した骨盤MRIから肛門周囲構造(11臓器)をセグメンテーションし、構造解析を行った。また、これらの59症例をテストデータとしてAI技術を導入して、自動セグメンテーションモデルを構築し、14例で精度検証を行った。臓器ごとによりDice係数は異なるが、内肛門括約筋や前立腺などはDice係数は0.9前後と良好なデータが得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響により患者対象とした研究の縮小により、データ収集の開始が遅れその影響が続いている。一方で、後ろ向きデータを利用し化学療法後の排便機能経時的変化や画像解析ソフトの開発は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
直腸癌手術を受けた患者に対して、前向きデータ(MRI、肛門圧測定、排便習慣機能アンケートなど)を収集し症例集積を継続する。画像解析ソフトの精度は向上してきため、これまでMRI画像が解析の主体であったが、汎用性の高いCTでも解析が可能か検証する。また、解析ソフトのExternal validationとして他病院でのMRI画像データでも精度検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は前向き症例集積とデータ解析で研究費の使用機会が少なく、次年度に成果報告のために使用するため。引き続き症例集積と解析、解析結果を公表する予定。
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