研究実績の概要 |
消化管の圧受容センサーであるTRPチャネルと食欲との関連を解明する目的として研究を行なっている. 2021年度は,食道癌,胃癌,病的肥満症に対して切除された胃検体を穹窿部大弯,体部大弯,前庭部大弯,体部前壁,体部後壁,体部小弯のそれぞれの部位にお いて,合計62症例に対して特定のTRPチャネルの免疫染色を施行した. 免疫染色に関しては粘膜内のセルカウンターで粘膜に存在する染色細胞の面積割合を測定した. 肥満症例と正常体重症例の比較を行うと,その結果,TRPチャネルの発現量は穹窿部を除く部位で,肥満症例の方が多いことが解明された。このことから,胃に存在するTRPチャネルが食欲に影響を与え,肥満に至るのではないかと考えた. TRPチャネルがどのような機序で肥満に至るかを解明するために,今後,TRPチャネルが食欲を制御する消化管ホルモンにどのような影響を与えるかを細胞実験にて,解明をしていく予定である.
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