研究課題
本研究の目的は、CAFエクソソーム由来のmicroRNA (miRNA)による癌細胞内のシグナル伝達への影響、癌細胞制御メカニズムを解明し、またそれを通じて特定のmiRNAを新たなバイオマーカーとして 同定することである。細胞株レベルでは、intestinal typeのMKN74においてtotal YAPにおけるphospho YAPの割合が高く、逆にスキルスタイプの細胞株であるNUGC3において、phospho YAPの発現割合が低いことがWestern blottingにおいて確認された。さらに現在までにCAF特有のexosomal miRNAを同定してきている。またHippo pathwayのKey moleculeであるYAPの発現の核への移行がその下流分子であるCTGFの発現と正の相関が見られることが確認された。さらにCTGFの発現については、特にdiffuse typeの間質における発現が低い症例において、有意に生存転機が不良であることが示された。この結果はTCGA dataでも同様の傾向があり、diffuse typeの胃癌においてHippo pathwayによるCTGFの制御がその悪性度に関わっていることが示唆された。本研究においてHippo pathwayを含む細胞内シグナルに与える影響を明らかにし、明らかにされた分子を標的とした治療薬開発に繋げることが最終的なゴールである。
2: おおむね順調に進展している
exosomal miRNAの下流に存在するYAPが特にdiffuse typeの胃癌において、CTGFの制御に関与していることが明らかとなった。詳細なメカニズムについては、さらなる検討を要する。
miRNAの癌細胞株への導入に関する実験を進め、exoxomal miRNAのHippo pathwayに与える影響の詳細について明らかにしていく方針である
コロナ禍の中で学会が概ねWEBで行われた影響などもあり、予算の繰越が生じています。また、計画は概ね順調に進んでいるものの、Hippo pathwayの制御機構の詳細について不明な点も残されており、その解明に予算を使用致します。
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Oncology Letters
巻: 27 (6) ページ: 241
10.3892/ol.2024.14374