研究課題/領域番号 |
20K17627
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中出 裕士 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (90745796)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食道癌 / ユビキチン・プロテアソーム系 / Cullin4A |
研究実績の概要 |
食道癌は難治性消化器癌の一つであり,現在その罹患率は全世界で第8番目となっており年々増加している.また発見・診断時にすでに遠隔転移を有するものや,局所進行のため切除不能である症例も少なくない.根治手術後も再発頻度は高く,再発後の治療は抵抗性が高く予後不良であり,現行治療が限定されており,大幅な予後改善のためには新たな観点での治療法の開発が望まれる.また,既存の治療法では治療限界が存在し,十分な治療成績が得られていないのが現状である.加えて他癌種に比べエビデンスを認めた抗癌剤の数は少なく,切除不能例や術後再発例の治療法の選択に苦慮することも多い.近年新たな治療戦略としてユビキチン・プロテアソーム系を標的とした治療が注目されており,DNA修復や細胞周期・シグナル伝達・転写調整などに関わる,E3ユビキチンリガーゼの構成蛋白であるCullin4A(CUL4A) に注目し,今年度はIn vitroでのCUL4A活性阻害による抗腫瘍効果の確認および機序の解明を目的とした.ヒト食道癌細胞株(TE-1,TE-8)のCUL4Aの発現をPCRおよびFACS, Western blot などで確認しており,CUL4A 発現の認められた細胞株において,腫瘍細胞へのアポトーシス誘導や細胞周期に及ぼす影響などを明らかにした.癌細胞浸潤アッセイや細胞遊走アッセイを行い浸潤能,遊走能に与える効果を検証する実験を施行した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
癌細胞浸潤アッセイや細胞遊走アッセイ を行い浸潤能,遊走能に与える効果を検証実験において,技術的に習熟するまでに期間を要した.今年度同時に行う予定であった,ベクターを用いCUL4Aを過剰発現させた癌細胞を使用し,CUL4A過剰発現が腫瘍の増殖能,浸潤能,遊走能に与える影響を検証する実験系が行えていない状況である.
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今後の研究の推進方策 |
癌細胞浸潤アッセイや細胞遊走アッセイ を行い浸潤能,遊走能に与える効果を検証実験も現在継続中である.ある程度見通しがついた時点で,同時並行的に,ベクターを用いCUL4Aを過剰発現させた癌細胞を使用しCUL4A過剰発現が腫瘍の増殖能,浸潤能,遊走能に与える影響を検証する実験を開始し遅れを取り戻す予定である.
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