In vitroでのCUL4A活性阻害による抗腫瘍効果の確認および機序の解明. 癌細胞浸潤アッセイや細胞遊走アッセイを行いCUL4A過剰発現が腫瘍の増殖能,浸潤能,遊走能に影響を与えることを確認した. CUL4A発現と抗癌剤および放射線感受性との関連のメカニズムについての検討. 次に本研究では,In vitro実験系でCUL4Aをノックダウンした食道癌細胞株を用いて5-FU,cisplatin,taxotel,gemcitabineなどの化学療法剤や放射線療法との併用による腫瘍増殖抑制効果を検討した.計画時点ではCUL4A活性阻害を加えた細胞株に化学療法剤や放射線療法を加えるとその相乗効果により有意に良好な治療効果が得られるものと考えていたが,そのような結果には至らなかった.この原因として各々の治療がそれぞれ別の機序に基づいてその効果がもたらされるものと考察している. CUL4A活性阻害による遠隔転移抑制効果の検討と機序の解析 CUL4A過剰発現は癌細胞の遊走能獲得さらには遠隔転移形成に深く関連することが示唆される.したがって,CUL4Aを標的とした治療によって遠隔転移を効果的に抑制,制御できるのではないかと予想した.肝転移モデルを作成し,CUL4A活性阻害,SCF活性阻害による転移抑制効果を検討すべく肝転移モデルを作成する予定であったが移植後うまく生着しなかった.今後も原因を究明し実験の続行を図るべく検討している.
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