研究課題
患者由来のネオアンチゲンを遺伝子導入したiPSDCsを用いた癌ワクチン療法は、免疫学的寛容に陥ることなく、これまでのTAAを導入したiPSDCs癌ワクチン療法に比べ、より強力な抗腫瘍効果を発揮すると考えた。そこでその標的の検査のため、患者より癌組織を摘出し、次世代シーケンサーを用いて全ゲノム解析を行い、エクソンにおける遺伝子変異ならびに遺伝子発現量を解析した。そしてそれら遺伝子変異は、同時並行して全ゲノム解析した患者由来の末梢血単核球(PBMCs)の結果と比較し、さらにはCOSMIC(http://cancer.sanger.ac.uk/cosmic)で検索を行い、遺伝子由来ペプチドのMHC への結合予測はNet MHC Ver4.0(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetMHC/)BIMAS(https://www-bimas.cit.nih.gov/molbio/hla_bind/)で行った。続いて、これらに基づき、そのタンデムミニ遺伝子を合成し、pCDNAベクターにクローニングし、これをelectroporationによりiPSバンクより入手したiPSCsより分化誘導したiPSDCsに上記ベクターにより、電気穿孔法(electroporaiton)にて遺伝子導入を行い、その患者独自のネオアンチゲンを発現するiPSDCs(iPSDCs-neoantigen)を得る予定であった。
3: やや遅れている
患者由来のネオアンチゲンを遺伝子導入したiPSDCsを用いた癌ワクチン療法は、免疫学的寛容に陥ることなく、これまでのTAAを導入したiPSDCs癌ワクチン療法に比べ、より強力な抗腫瘍効果を発揮すると考えた。そこでその標的の検査のため、主に大腸癌患者より癌組織を摘出し、次世代シーケンサーを用いて全ゲノム解析を行い、エクソンにおける遺伝子変異ならびに遺伝子発現量を解析した。遺伝子変異に基づき、患者のMHCに結合するペプチド配列を予測し、ペプチドワクチンとして投与する方法や、それらを複数連結した融合遺伝子を導入したDCsを癌ワクチンとして用いる方法が考えられる。そしてここに我々が求めていた、強力な治療効果を引き出すいくつかの治療標的となり得る候補を見つけたが、確定でききなかった。今後は、予算の限界もあるが、様々病期の症例を選び、再度次世代シーケンサーを用いて全ゲノム解析を行い、治療標的の発見することが来年度以降への課題となった。
摘出した患者の癌組織を約2mm角に細切し、DMEM/F12 10mL に Liberase DH 100μL (0.26 U/ mL)を添加した酵素液中で、37℃で2時間インキュベートする。これらのポアサイズ 500μmおよび250μmの金属メッシュを通過した分画を回収。これを100μmのナイロンメッシュ、40μmのナイロンメッシュの順に通して、各フィルター上に残った小腫瘍片を8ng/mL bFGF を添加したStemPro+hESC培地の中で翌日まで培養し、CTOSを形成させる。そして麻酔下でNOD/SCIDマウスの皮下にCTOSを接種して移植する。継代及び実験に使用する場合は腫瘍塊の直径が約10mmになったところでマウスを頚椎脱臼し腫瘍塊を取り出す。組織像については腫瘍塊のパラフィン切片をH&E染色で確認する。これを抗腫瘍効果判定のモデルとして使用する予定である。
コロナ感染症により出張が減ったため、旅費がかからなかった。一方、ネオアンチゲンの解析については追加の必要性があるため、次年度以降で同解析を行い、予算の執行を行う予定である。
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