今後の研究の推進方策 |
C57/BL6マウスに同種胃癌細胞YTN16と活性化好中球由来のNETsを腹腔内に共投与し腹膜播種を形成させる実験系にて、抗PD-1抗体 (200microg/mouse)を3日毎に投与し、その治療効果をNETs非存在下の治療効果と比較検討する。さらに、DNAse 1 (2000u/mouse)あるいはPAD阻害薬Cl-Amidine (50mg/Kg)をそれぞれ腹腔内、皮下に連日投与し、抗PD-1抗体の奏効性の変化を検討する。さらに、それぞれの動物においてPD-1抗体治療後の組織切片を作成、Cit-H3抗体でNETsの存在確認を行うとともに、腫瘍に浸潤した免疫細胞の種類や密度を、CD3, CD4, CD8, CD19などのリンパ球亜群、F4/80, CD11b, Gr-1に対するモノクロナル抗体を用いて染色し、NETsの存在が腫瘍の免疫学的がん微小環境に与える影響を明らかにする。
単球の分化と走化性に関するin vitroの実験を追加し、その分子機序を明らかにする。また、PMAとLPSの刺激によるNETsは活性化T細胞の運動に対して抑制的な作用を持つが、この現象には活性酸素(ROS)やケモカインの分解などの異なる機序が関わっていることが示唆されたため、そのメカニズムについてより詳細に検討を加える。
胃癌、大腸癌、卵巣癌の切除標本にて、CD66b抗体、シトルリン化ヒストン(Cit-H3)抗体を用いて、好中球とNETを定量するとともに、CD4,CD8, CD68, CD163に対する抗体でも染色し、NETsとT細胞やM2マクロファージの浸潤様式、臨床病理学的因子との関連性を明らかにする。
|