研究課題/領域番号 |
20K17630
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
西澤 伸恭 北里大学, 医学部, 助教 (60566925)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝臓 / 組織修復 / 免疫細胞 |
研究実績の概要 |
肝虚血再灌流障害からの肝修復・肝再生過程が傷害されると、肝障害の遷延化などをきたして患者の予後を不良にする場合がある。免疫細胞のひとつであるマクロファージが肝修復には重要な役割を果たしていること、また関与するマクロファージには多様性があることなどが最近明らかにされ、ホットな研究領域となっている。本研究ではマクロファージは自然免疫細胞であるナチュラルキラー細胞(Natural Killer T、NKT)細胞と相互作用することで肝組織修復に関与していることを明らかにすることを目的とした。このために、マウス肝虚血再灌流障害モデルを作成し、NKT細胞の動態をフローサイトメトリーで解析した。その結果、NKT細胞は再灌流6時間後には肝臓から消失することが分かった。NKT細胞の役割を調べるためにNKT細胞が欠損したCD1d欠損マウスと野生型とを用いて肝虚血再灌流障害モデルを作成した。その結果、再灌流障害後からの肝修復過程は野生型マウスよりも遷延することが分かった。すなわち、野生型マウスと比較してCD1d欠損マウスにおいて肝障害指標であるALT値や肝壊死面積が増加し、肝細胞増殖マーカーであるPCNA発現が減少した。さらにマクロファージの表現形式として炎症性マクロファージと修復性マクロファージとがあるが、野生型マウスと比較してCD1d欠損マウスにおいて炎症性マクロファージが優位であり、修復性マクロファージへの形質転換が遅延した。また、肝組織レベルでの炎症性マクロファージ関連マーカーは野生型マウスよりCD1d欠損マウスにおいて増加し、修復性マクロファージ関連マーカーは野生型マウスよりCD1d欠損マウスにおいて減少した。これらの結果からNKT細胞は肝虚血再灌流障害からの肝修復を促進する作用があること、またこれにはマクロファージの形質転換を刺激することが関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。肝虚血再灌流障害モデルにおいて肝修復過程にNKT細胞が関連していることを示すことができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画に沿って、本研究を進めていく。NKT細胞の関与が示唆されたことから、NKT細胞を活性化する糖脂質α-ガラクトシルセラミド (αgalctosyleceramide)を投与して肝修復にもたらす効果を知ラベル。さらにその制御機構についても明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変マウスの交配が予定通り進まなかったため、購入予定であった消耗品の納入が間に合わなかったことから次年度に繰り越した。来年度では実験動物関連と細胞培養関連を中心とした消耗品の補充及び実験動物の購入費に充てる予定である。
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