本研究は、食道癌集学的治療における奏効を、リキッドバイオプシーなどを用いて精度高くモニタリングすることにより、手術回避を含めた低侵襲個別化治療を確立することを目的①としている。さらに、術前化学療法奏効が強力な予後因子であることを踏まえ、その奏効率向上を目指した耐性メカニズムの解明も目的②としている。 食道癌術前化学療法症例における血中Circulating tumor DNA(ctDNA)の解析を目的とし、患者検体の集積を開始、13例約40検体の解析が終了した。結果として、術前化学療法の奏効とctDNAの変化が相関し、術後早期のctDNAが術後再発を鋭敏に予測しうることが明らかとなった。 また、最終的に腫瘍量に基づいて治療戦略を選択していく場合、遺残腫瘍量の把握とあわせてその分布が大変重要である。臨床データを用いて、術前化学療法奏効例における腫瘍遺残状況について検討した。結果として、術前化学療法が奏効した場合、腫瘍は局所にのみ遺残することが明らかとなり、多施設共同研究により検証が完了した。 目的②:食道癌における多剤併用療法の耐性メカニズムの解明ならびに薬剤耐性株を用いたドラッグスクリーニング) 薬剤耐性株の作成に注力し、食道癌細胞株において、臨床で用いられている薬剤の耐性株の作成、ドラッグスクリーニングを継続している。
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