研究課題/領域番号 |
20K17636
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
原 裕太郎 弘前大学, 医学研究科, 助手 (60836732)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵星細胞 / 浸潤性膵管癌 / 2型糖尿病 |
研究実績の概要 |
膵導管癌 (PDC)は悪性度が非常に高く、予後不良な疾患であり、その機序の1つに間質の著明な線維化がある。2型糖尿病 (T2DM) はPDCの予後不良因子であるが、詳細な機序は不明である。本研究は、T2DMにおけるRAGEを介したPDCの増殖と膵星細胞(PSC)とのクロストークを解明し、PDCに対するRAGEシグナルを標的とした新規治療法の確立を目的とする。2020年度の研究として、PDC外科手術標本で、T2DMの有無による膵癌細胞の上皮間葉転換への影響に違いがあるかを、病理学的分化度、上皮間葉転換のマーカーを評価した。T2DM患者群で膵癌細胞のE-cadherin発現低下が起きていることを明らかにした。また、T2DM患者群と低分化度の直接の関係は見られなかったが、E-cadherin発現低下群では低分化癌が有意に多いことが免疫染色から明らかとなった。続いて、ヒトPDC細胞株PANC-1、BxPC-3)にAGEを投与し、EMTの程度を評価した。上皮間葉転換のマーカーであるvimentin、E-cadherin、N-cadherinをRT-PCRを用いて解析したが、AGE投与群と非投与群で有意差は見られなかった。細胞免疫染色で、vimentin、E-cadherinを染色し、PDC細胞における形質の変化含め変化は見られなかった。共培養装置でPDC細胞株 (PANC-1、BxPC-3) と単離、培養したPSCを非接触下に共培養を行った。AGE刺激PDC細胞株とAGE非刺激PDC細胞株によるPSCに対する影響をα-SMA、desmin等の細胞免疫染色とBD FACSAria™ II Cell Sorterにより解析した。AGE刺激PDC細胞株ではPSCの活性化が引き起こされており、癌関連線維芽細胞様の形質を有するPSCの割合が増えることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AGE刺激によるPDC細胞株への直接的な関与は確認されなかったが、膵星細胞への影響は確認された。フローサイトメトリー等新しい実験手技の確立もできたため、次年度はさらに詳細な検討ができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
フローサイトメトリー等新しい実験手技を利用して膵星細胞の詳細な検討を進める。ヌードマウスの使用したin vivoの実験系の準備が完了したので、生体内での反応を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に実験を繰り越したため次年度使用額が生じた。
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