研究課題
仮胆道癌においては、炎症性サイトカインのIL-6とTGFβが相互刺激し、化学療法抵抗性や癌転移が誘導される。さらに、これらのサイトカインは、腫瘍における不均一性も認められる。一方で、炎症組織においては、同サイトカインによって不均一にTリンパ球の分化を誘導するため、癌が悪性形質を獲得するにつれサイトカインの腫瘍内不均一性が生じ、分化Tリンパ球の局在現象が起こりうる可能性がある。このメカニズムを検討するために、臨床切除検体を用いて、サイトカインの局在とリンパ球分化(サブタイプ)への影響を検討した。100例を超える胆道癌切除検体のリンパ球を染色し、癌より分泌されるIL-6、TGFβの染色状況と局在、浸潤リンパ球のサブタイプ(FOXP3,IL-17等)については検討したところ、切除検体における染色部位が異なり、サイトカイン局在とリンパ球浸潤局在とサブタイプには関連があり、リンパ球浸潤局在とサブタイプの違いによって、切除後の予後が異なることが明らかとなった。in vitro研究を目標として、癌悪性化細胞株(化学療法抵抗株、浸潤株、放射線治療抵抗株)の作成を開始し、化学療法抵抗株、浸潤株を樹立した。各癌悪性化細胞株において増殖能、浸潤能、抵抗性が誘導されていることが明らかになった。浸潤細胞株で網羅的遺伝子発現解析をしたところ、特定の分泌蛋白の遺伝子発現が亢進しており、この蛋白を添加することで、癌間質に作用していることが明らかになった。
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