研究課題/領域番号 |
20K17646
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
徳山 信嗣 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00804890)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | p53 / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
p53機能の再活性化のもたらす抗腫瘍効果に着目し、p53タンパク寿命を指標とする独自のハイスループットスクリーニング系を構築し、まず野生型p53のタンパク寿命を延長する化合物の探索を行った。EGFP融合p53タンパク質の安定発現株を用いたスクリーニング系を構築し、この系のZ’ factor(系の精度の指標)は0.7~0.8と高感度であり、小分子化合物による野生型p53タンパク寿命の変化を鋭敏に評価することが可能であった。またカウンターアッセイとしてEGFP-CL1degron発現株を用いた系も作成し、非特異的プロテアソーム阻害や自家蛍光による偽陽性の排除が可能であることを確認した。この系を用いて小分子化合物ライブラリー10000種に対してスクリーニングを行い、68種のヒット化合物を同定した。さらに内因性p53タンパクへの作用、用量依存性をwestern blottingにより評価し、ヒット化合物7種へと絞り込んだ。それぞれの化合物はp53の分解を阻害することでp53タンパクの寿命を延長しており、そのうち5種類はp53への作用の報告があり、スクリーニング系の妥当性が示唆された。残り2種の化合物は同一の骨格を有し、今までにp53への作用の報告がない化合物であった。この2種の化合物のp53安定化の機序について探索を行ったところ、大腸癌細胞株に対してDNA障害を起こさず、一方でユビキチン化を阻害することでp53タンパクを安定化することを明らかにした。またプルダウンアッセイ、サーマルシフトアッセイではp53-MDM2結合阻害作用を示さず、MDM2阻害剤と異なる機序が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定したスクリーニングによるヒット化合物の中から新規機序の可能性がある化合物を同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、大腸癌細胞株に対する作用や特異性、正常細胞に対する毒性の評価を行い、新規治療としての検討を行う。またヒット化合物の類縁化合物の活性評価により活性部位の同定を行う。また類縁化合物を使用した標的分子の探索を行う。既存のMDM2阻害剤とは異なる新規機序によるp53活性化剤の開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後類縁化合物による活性評価を多数行う予定であり、化合物購入費用がかさむことが予想さされ次年度使用へと回すこととした。
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