研究課題
局所進行直腸癌の術前化学放射線療法 (Neoajuvant chemoradiation thearpy: NACRT)は、病理学的完全奏功(pathological complete response: pCR) 症例は予後良好であるが、pCR率は20%未満と低い。pCR率の向上のために、放射線と免疫の関係から、腫瘍免疫微小環境(Tumor Immne microenviroment: TIME)を詳細に検討している。特に、直腸癌NACRT 症例での検討では、腫瘍浸潤 CD8+T 細胞が増加すること、PD-L1+免疫細胞が誘導されることを示した。さらに、AIによる診断手法を用いてCD8+T細胞を再度解析し,腫瘍におけるCD8+T細胞の数が再発率,組織学的奏功度に関係していることが分かり、AIイメージングサイトメトリーを用いて再現することに成功した。免疫染色における染色の程度と細胞形態をアノテーションすることで、より高度なデータ集積が可能となる。また、さらなる症例の集積により,迅速に高い客観性を有する術前治療のバイオマーカーの開発に活かせるように解析を行っている。これらの結果を踏まえて、CD8+T細胞に注目し、マウス大腸癌放射線治療モデルにおけるCD8+T細胞の動態解析を行い、腫瘍内CD8+T細胞の増加の再現を行った。PD-1, Tim3の発現による疲弊の程度に合わせて、3つに分画に分類したところ、PD-1+Tim3+CD8+T細胞が著明に増加していた。さらにその分画におけるIFN-γ産生が増強していることも分かった。疲弊度の高いT細胞が放射線で上昇することを示し、それらの機能的な遺伝子発現や、分化に関連する遺伝子を特徴付けるために、PD-1,Tim3の各fractionごとにソーティングした細胞をRNA-seqで解析を行い結果を待っている状況である。
すべて 2021
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Anticancer Res
巻: 41 ページ: 7983,7989
10.1245/s10434-021-09872-5
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