研究実績の概要 |
今年度は、誘導した膵癌幹細胞様細胞における免疫抑制性表面マーカーの解析を中心に研究し、その成果を論文として発表した。今年度の経費は、主に上記の研究を遂行するための試薬代、細胞培養維持費、臨床検体の標本作成等に使用した。
1.誘導した膵癌幹細胞様細胞においてPD-L1の発現は上昇し、HLA-ABCの発現は低下していた。さらに膵癌幹細胞様細胞のうち、細胞表面にCalreticulinを発現している細胞はPD-L1の発現亢進、HLA-ABCの発現低下の特徴は、さらに顕著であった。一方で、細胞がマクロファージからの貪食を逃れるanti-phagocytic signalであるCD47の発現は、予想に反して、誘導した膵癌幹細胞様細胞において、むしろ低下しており、発現の多寡とCalreticulinの発現は相関しなかった。本研究の成果は、Pancreas誌(2021, 50 (3): 405-413)に掲載された。なお本研究の遂行のため、経費を用いてFlowcytometryおよびWestern blotを行うための抗体、試薬などを購入した。
2.膵癌幹細胞様細胞においてCathepsin Bが高発現していること、および膵癌根治切除後の切除標本におけるCathepsin Bの発現多寡と切除後の予後が関連していることを見出した。本研究の成果は、Oncology Letters誌(2021, doi: 10.3892/ol.2020.12291)に掲載された。本研究の遂行のため、ELISA等を行うための試薬等を経費を用いて購入した。
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