研究課題/領域番号 |
20K17655
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松隈 聰 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10634743)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 癌 |
研究実績の概要 |
本研究は、がん組織中に少数存在し、既存の抗がん剤治療や放射線治療に抵抗性を示して、がんの再発、転移に関わる癌幹細胞様細胞 (Cancer stem-like cells: CSLC) に対する新規治療法開発を最終目的とする。人体にはがん細胞を含む異物を排除する免疫機構が存在し、これによりがん細胞も排除されている。しかし、がん幹細胞は細胞表面に免疫細胞を抑制する分子を発現したり、免疫を抑制する液性因子を分泌することで、がん患者さんの体内で免疫から逃れることで長期生存していると考えられており、本研究では、この点を明らかにする。膵がん細胞株から誘導したがん幹細胞の免疫逃避機構について、主に免疫チェックポイント分子および可溶性免疫抑制物質の分泌の観点から検討する。 前年度までに、誘導した膵癌幹細胞様細胞における免疫抑制性表面マーカーの解析を中心に研究し、その成果を論文として発表した。しかしながら、CSLCの誘導にトラブルにより、その後の解析に遅れが生じた。本研究でのCSLC誘導は独自培地を用いた短期培養 (1週間) でのsphere誘導とその後のラミニンコート上での長期培養 (2か月) から成る。今回、長期培養後の細胞生存率に著しい減少が見られ、その後の解析に支障が生じた。肝癌由来細胞株を用いた我々のCSLC研究では長期培養を行わずに短期培養のみでCSLCが誘導できることを確認し、複数の論文で示している。 そこで、令和3年度では膵癌由来細胞株においても、肝癌由来細胞株と同様の短期培養にてCSLC1誘導を行うこととした。Panc-1細胞株より上記の短期培養によりCSLCとしてsphere細胞を得てRNA-seq解析を行った。その結果、Panc-1から得られたSphere細胞では薬剤耐性と関わるABCトランスポーターをコードする遺伝子群の発現亢進が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に生じた培養トラブルについて、CSLC誘導法を変更し改善を行った。前年度での遅れが影響しているが、誘導法の改善により今後の実験スピードは向上することが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
改善したCSLC誘導法を用いて得られた細胞がCSLCとしての特性を有しているか確認した後に当初予定していた実験計画を速やかに実行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に培養トラブルにより、実験が遅延したため大幅な次年度繰越額が生じた。令和3年度においては、問題点を改善して実験進めることができた。次年度では培養関係の試薬量を増やして、解析回数を増やしてこれまでの遅延を挽回して当初目的を達成する。
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