研究課題
熊本大学消化器外科で切除された約500例の肝細胞癌初回肝切除例の患者背景、腫瘍因子、手術因子、化学療法、生活背景、予後に関する情報を含めたデータベースの構築が終了した。肝細胞癌における免疫組織染色を用いた免疫細胞の評価法は確立した。肝細胞癌に対し初回肝切除術を施行した225例において、腫瘍周囲に浸潤する腫瘍関連好中球(TAN)や腫瘍関連マクロファージ(TAM)、CD8陽性リンパ球を免疫組織染色により評価した。腫瘍周囲に浸潤するTAN、TAMが多い症例は有意に予後不良であり(TAN OS: p=0.049, DFS: p=0.010, TAM OS: p=0.001, DFS: p=0.013)、一方CD8陽性リンパ球が多い症例は有意にOSが良好であった (p=0.028)。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から抽出したDNAを用いた細菌および細菌叢の解析では陽性率が低いため、今後は凍結組織を用いた細菌および細菌叢の解析を予定している。わが国では平均余命の延長と高齢者人口の増加に伴い、高齢者の肝細胞癌手術症例が増加している。がん患者は、がんの進行に加えて、加齢、併存疾患、認知機能の低下に伴い、日常生活動作(activities of daily living; ADLs)が低下することが知られている。術前ADLsはBarthel index (0-100点で点数が高いほど自立している)を用いて評価した。Barthel index 99点以下をADL低下とし、治療成績を比較した。術前ADLs低下を有する患者は再発に対して再肝切除、局所凝固療法、肝動脈化学塞栓療法を施行し得た症例が少なく (P<0.001)、全生存率が有意に不良であった(log-rank P=0.003)。
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