研究課題/領域番号 |
20K17661
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
西口 由希子 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40867727)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シスプラチン / HMGB1 / デオキシコール酸 / エチルピルビン酸 / 胃癌 |
研究実績の概要 |
核内HMGB1を枯渇させる方法としてデオキシコール酸を用い、そのシスプラチン抗腫瘍効果への影響を検討した。デオキシコール酸が核内HMGB1の細胞外分泌を促進し、核内HMGB1の枯渇を誘導することを報告している(Fujii K, Cell Prolif. 2009)。デオキシコール酸とシスプラチンをMKN74およびTMK1に対して同時処理すると、シスプラチンの細胞増殖抑制効果はデオキシコール酸の濃度依存性に増加した。一方、この時のアポトーシスは、デオキシコール酸処理により逆に低下していた。デオキシコール酸による細胞外へ分泌されたHMGB1による、RAGEを介したNFkB活性化がアポトーシス抑制に関与していた。このため、デオキシコール酸とエチルピルビン酸を同時投与すると、HMGB1分泌は抑制された。シスプラチン、デオキシコール酸とエチルピルビン酸を同時処理すると、細胞増殖抑制とアポトーシス促進が見られた。このように、核内と細胞外のHMGB1を同時に抑制することにより、シスプラチンの抗腫瘍効果を促進することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デオキシコール酸とエチルピルビン酸を同時に用いることで、シスプラチンの抗腫瘍効果が促進されることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
デオキシコール酸による核内HMGB1枯渇がシスプラチンのDNA結合性にどのように影響するか、また、分泌されるHMGB1の分子種について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金については、次年度消耗品の購入に使用する。
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