研究課題
HMGB1標的化を検討する過程で、HMGB1の翻訳後修飾の状況が重要であることが明らかになってきた。そこで本年度は、酸化型HMGB1および糖化HMGB1の癌細胞に対する作用を菲薄検討した。Nε-(Carboxymethyl)lysine (CML)は、タンパク質のリジン残基が糖化することで生成する AGE の一種である。CML修飾によるタンパク質の機能変化に関する報告はいくつかありますが、癌との関連は明らかではありません。我々は、HMGB1におけるCML修飾の意義について検討した。胃がん(GC)細胞株TMK1およびMKN74をグリオキザールまたはグルコースで処理すると、CML修飾が増加した。CML-HMGB1は、ナイーブHMGB1や酸化型HMGB1に比べ、RAGE、AKT、NF-κBをより顕著に活性化しました。CML-HMGB1は、DNAやヒストンH3への親和性が低下しており、細胞外への分泌が促進されました。CML-HMGB1は、HMGB1と比較して、増殖、浸潤、抗アポトーシス生存、幹細胞性、5-FU耐性を向上させた。さらに、CML-HMGB1は、GC腫瘍10検体すべてにおいて様々なレベルで検出された。CML-HMGB1レベルは、pT、pN、pM、pStageと関連していた。さらに、CML-HMGB1レベルは、癌組織の酸化ストレスおよびネオアジュバント療法への抵抗性と相関していた。したがって、HMGB1のCML修飾は、HMGB1のがん促進作用を増強していた。
2: おおむね順調に進展している
酸化型HMGB1および糖化HMGB1がナイーブHMGB1よりも強い腫瘍促進作用および薬剤耐性誘導作用を有することを明らかにしたことで、これらを標的とする必要性が明らかになった。
今後は、糖化HMGB1や酸化型HMGB1の修飾課程を標的とした治療法を検討する。
HMGB1の糖化抑制効果のある小分子のスクリーニングが年度内に終了しなかったたま、これに必要な費用を次年度使用額とした。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 22 ページ: 5185~5185
10.3390/ijms22105185
巻: 22 ページ: 8232~8232
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http://www.naramed-u.ac.jp/~molepath/