研究課題/領域番号 |
20K17675
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河口 義邦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00597726)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腫瘍の蛍光 / 神経の蛍光 / 新規赤外観察カメラ |
研究実績の概要 |
(1)ラットを用いた動物実験による試薬投与の方法、量、タイミングの最適化 メチレンブルーを蛍光源とした赤外観察カメラを開腹用、腹腔鏡用ともに試作し、ラットを用いた観察を行った。大腿神経を剥離、露出させ、メチレンブルーを塗布し開腹用、腹腔鏡用ともに赤外観察カメラ試作機を用いて観察を行った。メチレンブルーは下記の通り調整した。1%のメチレンブルーを、1/10、1/100、1/1000に希釈し、それぞれの濃度による蛍光観察の程度を評価した。ラットは6匹用いて行い、メチレンブルー塗布後の蛍光観察と同部医を切離し、ホルマリン固定後にHematoxylin Eosin染色にて標本観察を行った。神経周囲へのメチレンブルーの分布が観察されず、有機溶媒であるホルマリンによる固定のためメチレンブルーが溶解された可能性が考えられた。そのため、凍結標本の作製と標本観察を行ったが、メチレンブルーの分布が観察されなかった。 (2)オールインワン開腹・腹腔鏡用蛍光観察システムを用いたヒトによる臨床試験 上記研究(1)にて腹腔内観察の際の試薬投与方法、量、タイミングの最適化を図り、本研究(2)へと進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットを用いた動物実験による試薬投与の方法、量、タイミングの最適化 Covid-19感染対策の観点から動物実験の遅延を来している。しかしながら当初の目的である試薬投与の方法、量、タイミングにつき、これまでの検討では1/1000%のメチレンブルー濃度が最適であると確認している。つまりメチレンブルーによる蛍光は薄くても十分な蛍光が観察されることから、実用化された際の経済的な効果が期待される。 (2)先行させたメチレンブルーを用いた開腹用試作機による安全性試験の結果に関し、英文報告の作成中である。2022年4月の外科学会にて成果の一部を報告予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ラットを用いた動物実験による試薬投与の方法、量、タイミングの最適化 上記の通り研究を遂行している。昨年度に続き本年度の問題点としてCovid-19 pandemicによる基礎研究、動物実験の制限があげられる。一時期、新規実験動物の購入制限などもあり予定に若干の遅れが生じている。本年度もCovid-19の感染状況から、動物実験の計画に流動性を考慮する必要がある。先行させたヒトでの安全性試験の結果に関して英文報告の作成をすすめ、研究(2)オールインワン開腹・腹腔鏡用蛍光観察システムを用いたヒトによる臨床試験への準備をすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は昨年度と同様Covid-19 pandemicによる基礎研究、動物実験の制限があったため、当初予定していた実験のすべてを行うことができなかった。また国内・国際学会発表にかかる費用を見積もっていたがほとんどがweb開催となり見込みよりも予算の削減がみられた。本年度は2020年度、2021年度に施行できなかった実験もあわせて施行予定のため、本年度請求分とあわせて当該年度の差引額を本年度の研究に充てる予定である。
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