研究実績の概要 |
本研究の目的はAssociating Liver Partition and Portal vein ligation for Staged hepatectomy(ALPPS)手術における、肝再生促進の機序解明である。具体的には、1)肝組織内の低酸素状態が肝再生を促進させること, 2)その機序は炎症性サイトカインではなく, NOS活性化とNO誘導にあること, の2点を解明し、肝再生療法への展開を図る。2020年度は1)に関して実験をすすめ、結果が得られたため、現在は2)に関して研究を行っており、以下に実績の概要を記す。 まず、ALPPS群では虚血部位切除群と同様の肝再生と細胞増殖が認められた。血清の炎症性サイトカイン発現量に関しては、群間有意差は認められなかった。ALPPS群ではGdCl3によりインターロイキン6の発現がPVL群と同程度に抑制されたが、FLRはPVL群よりも増殖が良好であったという、予想される結果が得られた。ウェスタンブロッティングにより、ALPPS群ではPVL群に比べAkt Ser473およびeNOS Ser1177のリン酸化が亢進していることが明らかになった。また、NO産生物を投与したPVL群では、FLRがALPPS群と同程度に増加したため、ALPPS群では有意にeNOSが亢進することによってPVL群よりも有意に肝再生が加速されることが実証された。
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