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2020 年度 実施状況報告書

食道扁平上皮癌の治療抵抗性改善薬としての人工環状RNA医薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K17683
研究機関大阪大学

研究代表者

阪野 佳弘  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20850267)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードCircular RNA / non-coding RNA / 食道扁平上皮癌 / 薬剤感受性 / 薬剤耐性 / 治療抵抗性 / シスプラチン
研究実績の概要

circular RNA(以下circRNA)は、数百から数千の塩基からなる環状で安定した構造を持つRNAである。哺乳類を含む真核生物で豊富に発現しており、数万種の存在が確認されている。また、microRNAやRNA Binding Proteinsを介して転写、翻訳を調節する機能を有している。癌を含む様々な疾患との関連性が指摘されつつあり、新たなバイオマーカーや核酸医薬への応用が期待される。
本研究の目的は、食道扁平上皮癌(ESCC)の治療抵抗性と関連するcircRNAを特定すること、さらに、特定されたcircRNAを用いて新規のバイオマーカーや核酸医薬開発の可能性を探索することである。
ESCCの細胞株であるTE11と、シスプラチン暴露により樹立したTE11シスプラチン耐性株(TE11R)を次世代シークエンスにて解析した。TE11RにてTE11よりも高発現を示す10のcircRNAについてqRT-PCRにて発現定量を行ったところ、TE11およびTE8のシスプラチン耐性株において親株よりも高発現を示すcircRNA(以下circX)を同定した。また、TE11およびTE11RにてcircXをsiRNAを用いてノックダウンし薬剤感受性試験を行ったところ、circXのノックダウンによって薬剤感受性が増強することが確認された。CircXはシスプラチン耐性に関連するcircRNAが検出された可能性が示唆された。また、シスプラチンを含む化学療法を施行後に外科的切除を行った食道扁平上皮癌46例について、組織におけるCircXの発現を定量したところ、病理学的深達度が進行したpT3以上の症例において、pT2以下の症例よりもcircXが高発現である傾向がみられた。以上の結果よりCircXは治療抵抗性に関わる因子である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から研究時間の制限があり遅延した。

今後の研究の推進方策

circXについて、臨床検体(組織・血液)を用いて臨床病理学的特徴との関連をさらに検討し、バイオマーカーとしての汎用性を検証する。また、in vitroでは、バイオインフォマティクス解析などを用いてさらなる発現メカニズムの解明などを行い、核酸医薬のtargetとしての可能性を探求する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染症に関する緊急事態宣言発令等により、研究の進捗状況に遅れが生じたため

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公開日: 2021-12-27  

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