化学療法下における食道扁平上皮癌微小環境下の腫瘍関連マクロファージの機能解析に関する研究を継続してきた。初年度は、MACSを用いて採取したヒト由来単球にMCSFを作用させてマクロファージモデルを作成し、さらにヒト食道扁平上皮癌細胞株の培養上清液で刺激することで、M2様性質を獲得したマクロファージを作成し、このマクロファージモデルの機能解析を行い、癌進展に促進性に作用することを確認した。昨年度はM2様性質を獲得したマクロファージモデルを、臨床で食道扁平上皮癌に対して多く用いられる5FU+CDDP療法を想定して、マクロファージ単独培養下に5-FU単独、CDDP単独での暴露を行い、マクロファージの機能変化の解析を行った。本年度は、両抗がん剤を併用した状況下での機能解析を行い、さらに食道扁平上皮癌細胞との共培養下でも同様の実験を確認した。また、食道扁平上皮癌微小環境を構成する細胞を個々改めて評価し、マクロファージを中心に化学療法の影響による各々の相互作用を明らかにするため、臨床検体での化学療法施行後の症例を対象にCD204やCD163を用いた免疫染色を行い、食道扁平上皮癌微小環境の中核を担う食道扁平上皮癌幹細胞がどのように化学療法の影響を受けるかの評価を行った。この研究期間において、食道扁平上皮癌に対する化学療法の中心薬剤としてドセタキセルが加わったため、これらも含めた実験系も予定している。現在、上記研究結果の全体の解析を加えた評価を行い、報告予定である。
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