内分泌細胞由来大腸癌に対する新規治療法の探索

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K17687
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 向山 順子 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (70734987)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 大腸癌 / 最適化治療 / 細胞系譜

研究実績の概要

近年、腸管の内分泌系細胞を起源にもつ大腸癌が、大腸癌の予後が不良なサブタイプとして注目されている。一つの大腸癌組織にも多数のサブクローンが存在し、転移や治療抵抗性などの性質の決定に関わることが示されつつあり、転移再発能の根幹にある分子機構の解明のためには、同大腸癌を構成する癌細胞の単細胞レベルでの解析が必要となる。本研究では内分泌細胞を起源とする大腸癌の細胞系譜解析により、固形癌では初となる細胞系譜に基づく最適化治療の確立を行う。
小腸上皮は吸収上皮細胞と内分泌系細胞（上皮内分泌細胞，杯細胞、Paneth細胞）、前駆細胞、幹細胞から構成される。しかし、現在広く用いられている細胞表面マーカーCD44やCD24による標識では複数の細胞集団の分離は可能であるが、高い純度で各細胞を特異的に分離する手法は確立されていない。そこで本研究では、マウス小腸からセルソーターにて腸管の上皮細胞の大半を占める吸収上皮細胞(EpCAM+/CD66high/CD44low)を除去した細胞集団(EpCAM+/CD66low/CD44high)の解析を行った。新規の細胞表面マーカーの組み合わせの同定により、腸管内分泌系細胞を特異的に分離することが可能であり、現在は各細胞集団のRNA-Seq.解析を進めている。
大腸癌臨床検体のバルクRNA-Seq.解析を行い、内分泌系細胞由来大腸癌の遺伝子特性を明らかにした。今後は、解析症例数を増やし、検討を重ねていく予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍による影響により、大腸癌の臨床検体の解析が遅れている。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りに研究を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響で臨床検体の解析が遅れているために、次年度使用額が発生した。来年度に当初の予定通り解析を行う予定である。

研究成果

• [国際共同研究] Columbia University/Stanford University(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: Columbia University/Stanford University
• [雑誌論文] Upregulation of BMI1-suppressor miRNAs (miR-200c, miR-203) during terminal differentiation of colon epithelial cells. (2022)
  • 著者名/発表者名: Shigeo Hisamori, *, Junko Mukohyama*, 6yt5Koul Sanjay, Takanori Hayashi, Michael E. Rothenberg, Masao Maeda, Taichi Isobe, Luis E. Valencia Salazar, Xin Qian, Darius M. Johnston, Dalong Qian, Kaiqin Lao, Naoya Asai,, Yoshihiro Kakeji, Vincenzo A. Gennarino, Debashis Sahoo Piero Dalerba, Yohei Shimono
  • 雑誌名: Journal of Gastroenterology 巻: in print ページ: in print
  • 国際共著
• [雑誌論文] Structural basis of cytokine-mediated activation of ALK family receptors (2021)
  • 著者名/発表者名: De Munck S, Provost M, Kurikawa M, Omori I, Mukohyama J, Felix J, Bloch Y, Abdel-Wahab O, Bazan JF, Yoshimi A, Savvides SN
  • 雑誌名: Nature 巻: 600 ページ: 143-147
  • DOI: 10.1038/s41586-021-03959-5
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Simple Cancer Stem Cell Markers Predict Neoadjuvant Chemotherapy Resistance of Esophageal Squamous Cell Carcinoma. (2021)
  • 著者名/発表者名: Agawa K, Yamashita K, Nakagawa A, Yamada K, Watanabe A, Mukohyama J, Saito M, Fujita M, Takiguchi G, Urakawa N, Hasegawa H, Kanaji S, Matsuda T, Oshikiri T, Nakamura T, Suzuki S, Kakeji Y.
  • 雑誌名: Anticancer Research 巻: 8 ページ: 4117-4126
  • DOI: 10.21873/anticanres.15214.
  • 査読あり
• [学会発表] DX2低発現大腸癌に対する最適化治療の確立に向けた研究 (2021)
  • 著者名/発表者名: 向山順子, Piero Dalerba
  • 学会等名: 第121回日本外科学会定期学術集会, 外科学再興シンポジウム13
  • 招待講演
• [学会発表] miR-221 targets QKI5 and enhances functional behaviors of cancer stem cells in human colon cancers. (2021)
  • 著者名/発表者名: Junko Mukohyama, Osamu Itano, Yoshihiro Kakej, Yohei Shimono.
  • 学会等名: International Colorectal Research Summit (ICRS)
  • 国際学会