研究課題/領域番号 |
20K17689
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
宮内 亘 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (60762200)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | TYRO3 / 化学療法抵抗性 / 選択的オートファジー |
研究実績の概要 |
これまで申請者の施設において膵癌におけるTYRO3のAkt/PI3K及びERKシグナルを介したoncogeneとしての役割を明らかとしてきた。本研究課題においてはTYRO3をsiRNAによりノックダウンさせたヒト膵癌細胞株PANC-1において、選択的オートファジーマーカーであるp62の発現が抑制されることを見出した。さらに、ゲムシタビン抵抗性を獲得させたヒト膵癌細胞株BxPC-3においてTYRO3及びp62の発現が上昇していることを示した。これらの結果は、RTKであるTYRO3が選択的オートファジーを促進させること、増殖・化学療法抵抗性の獲得に関与する可能性を有することを示唆する。 加えて、TYRO3過剰発現のPANC-1細胞株を作製したところゲムシタビンに対する抵抗性が上昇している事が示された。さらにTYRO3の発現とオートファジーマーカーであるLC3分子の発現形態が関連する事がタンパクレベルで示されている。 これらの結果から、膵癌悪性度の獲得にTYRO3とオートファジーが関連している可能性が高いと考えている。TYRO3過剰発現株におけるマイクロアレイでのmRNA発現解析を提出解析中であり、オートファジー関連遺伝子との関係を新規に検索している。 さらに他癌腫(胃癌)において、TYRO3と術後患者予後との関連を新たに示すとともに、TYRO3の発現が腫瘍細胞の浸潤能・増殖能と相関を示す事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵癌の悪性度・化学療法抵抗性獲得のメカニズムの一旦として選択的オートファジーが関与する可能性が見いだされた。真にオートファジーと関連しているか否かをLC3の発現解析及びmcherry/GFP発現細胞株を作製する事等で明らかとしていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
TYRO3過剰発現細胞株の機能解析、TYRO3-選択的オートファジー経路の解析、動物実験及びTYRO3抑制実験、臨床検体の解析を合わせて行うことで「膵癌におけるTYRO3発現・活性化→選択的オートファジーの亢進→癌細胞の増殖、浸潤・化学療法抵抗性の獲得」という膵癌進展におけるシグナルカスケードについて明らかにする
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