研究課題/領域番号 |
20K17692
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
西山 光郎 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (50714614)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胃癌 / 播種再発 / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は、癌幹細胞(Cancer stem cell: CSC)を標的とした治療方法の開発による胃癌の播種再発抑制を目的とする。胃癌の術後再発の約半数は腹膜播種であ り、その予後は不良で播種に対する新規治療の開発は急務である。CSC は腫瘍新生能や転移能、治療抵抗性を持つことで、癌の再発、転移に関わっているとされ ている。我々は独自の方法で胃癌細胞株からCSCの特徴であるsphere形成細胞を誘導することに成功し、その細胞が腹膜播種を高頻度で引き起こすことを発見し た。本研究では誘導したsphere形成細胞が持つ抗がん剤耐性や上皮間葉系転換などの幹細胞性を明らかにし、次世代シークエンサーを用いたRNA sequenceでの網羅的解析により胃癌腹膜播種の分子機構を明らかにし、有効な治療ターゲットとなる遺伝子発現を同定することを目的としている。 臨床サンプルと胃癌細胞株から得られる遺伝子発現を比較検討して有効な治療ターゲットとなる遺伝子発現を同定することを目的に研究を計画していたが、保存していた臨床サンプルのクオリティの問題や計画後よりcovid-19のまん延による日常臨床の変化もあり、思うように計画が進んでいない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
臨床サンプルを用いたNGS解析を前年度より行っているが、比較検討する適切な症例で良好な保存状態を保っている臨床サンプルが少なく、進行に難渋している。 Xenograftモデルでの腫瘍新生能においては元の細胞株では腫瘍形成しなかったが、誘導したsphere形成株において腫瘍形成が見られることが確認できた。 flowcytometryにおいてはEpCAMの発現の低下がみられている。 Aldefluor Assayでは元の細胞株、sphere形成株の間に差を認めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き臨床サンプルからのNGS解析を継続し、データの集積をはかる。 RT-PCRでのEMTやhypoxia関連の遺伝子、蛋白発現についても検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床サンプルの問題から実験が計画より遅れていることやcovid-19の全国的な流行に伴い、学会がweb開催や中止となったことから必要経費としてあげていた旅費が不要となったため次年度使用額が生じた。この未使用額においては令和4年度の実験試薬の購入や学会の旅費、参加費とあわせて使用する。
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