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2020 年度 実施状況報告書

食道癌に対する光線力学療法による薬剤耐性軽減効果の証明と新規治療開発に向けた検証

研究課題

研究課題/領域番号 20K17694
研究機関宮崎大学

研究代表者

甲斐 健吾  宮崎大学, 医学部, 助教 (90851585)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード光線力学療法 / 薬剤耐性 / 化学療法 / 併用療法 / 食道癌
研究実績の概要

光線力学療法(Photodynamic therapy: PDT)は、光増感剤(Photosensitizer: PS)である腫瘍親和性物質を体内に投与し、病変部に特異的な波長のレーザーを照射することで活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)を発生させ、癌細胞を酸化壊死に導く治療法である。本研究は近年in vitro実験で報告されている癌細胞の化学療法に対する耐性軽減効果に着目し、抗癌剤と併用療法に最適化した独自のPDT療法の樹立を目的とする研究である。
初年度である令和2年度は、これまでに当院で施行された化学放射線療法後局所再発病変に対するPDT療法後のヒト食道癌生検組織 (n=32, うち1次耐性n=9, 2次耐性n=5)、及びそのコントロールとしてPDTを施行せずに外科的切除を行ったヒト食道癌組織 (n=27)を用いて、免疫組織染色で薬剤耐性トランスポーター発現の評価を開始した。
一次抗体としてAnti-P Glycoprotein antibody, JSB-1, (Abcam)とAnti-BCRP, BXP-21 (Merck)を購入し、それぞれのoptimizationを行い、種々の条件で実験を繰り返し最適なprotocolを検証した。P-Glycoprotein (ABCB1)はヒト正常肝組織において、クエン酸バッファー下オートクレーブでの賦活化、overnightで1次抗体をincubateし、DAB/Ni/Co/H2O2溶液でVisualizeし、細胞膜に染色が得られた。BCRP (ABCG2)はヒト食道癌組織において20倍希釈の1次抗体を用いた、同様の賦活化、Visualizationで細胞質での染色が得られた。この条件にて臨床サンプルを用いた免疫染色法を実施し、これまでに非PDT施行群10症例分を終了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画立案時、まずin vitro実験として、①:シスプラチン耐性食道癌細胞株の樹立、②:①で耐性株に対してPDT+シスプラチン併用療法を行い、シスプラチン単独療法との抗腫瘍効果の比較、及びPDTがもたらす薬剤耐性トランスポーター軽減の効果を実証することを予定していた。しかし、実際の臨床サンプルでの免疫組織学的評価及びそれらの臨床的な治療効果や予後、有害事象との比較を先行する方針に変更した。
臨床サンプルの収集に一定の時間を要したこと、また購入した一次抗体を用いたoptimizationにおいて、適切な組織選択、抗体濃度、賦活化、visualization方法を決定するために想定よりも多くの実験回数を要した。

今後の研究の推進方策

まず、臨床サンプルを用いた免疫染色はすでに確立した方法で残りの47症例を終了させ、令和3年度上半期までにPDT群(治療奏効軍、治療抵抗性群)と非PDT群における薬剤トランスポーター発現の差と、その臨床的な意義の評価について検証を行う。
次いで、令和3年度下半期では臨床研究にて重要な因子となる薬剤トランスポーター蛋白に焦点を絞り、in vitro実験に移行させたいと考えている。

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公開日: 2021-12-27  

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