化学放射線療法(CRT)後の局所遺残再発食道癌に対する光線力学療法(PDT)サンプルを用いた薬剤耐性トランスポーター発現評価
PDTによる化学療法耐性軽減効果を、当院で保険診療として施行している化学放射線療法後の局所遺残再発食道癌生検サンプルを用いて、薬剤排出性トランスポーターであるBreast cancer resistance protein(BCRP)の免疫組織化学法(IHC)による評価を行った。2016年から2019年の間にPDTを施行したCRT後局所再発食道癌患者18例(総施行回数は30回)を対象に検討を行った。平均年齢は70.9歳,全例が男性であった.3年局所無再発生存率は45.8%であった.BCRP発現評価は抗BCRP抗体を用いてIHCを施行しDAB/Ni/Co/H2O2でvisualizeし,①Grading(0~3)と②Image Jにより数値化したBCRP staining intensityを指標とした.その結果、①PDT前の腫瘍組織のBCRP gradeが低い(grade2以下)は有意に抗腫瘍効果が高いこと、②PDT前組織とPDT後遺残組織のBCRP staining intensityは80%で低下が見られた.本研究結果より,臨床サンプルを用いた非殺細胞レベルのPDTによる薬剤耐性軽減効果の可能性が示唆された.次年度は本研究の最終年度として,化学療法耐性細胞株に対して,当施設で独自に開発した光感受性物質を使用した耐性改善効果の実証を行う予定である.
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