研究課題
本補助事業では、光線力学療法(photodynamic therapy: PDT)による癌に対する治療抵抗性軽減効果、いわゆるphotodynamic priming effectを検証する目的で、以下の研究を実施した。研究①: ヒト食道癌におけるPDT前後での薬剤耐性蛋白の変化を臨床サンプルを用いて検証した。2016年から2019年の間に当院でPDTを施行したCRT後局所再発食道癌患者18人を対象とし、後ろ向きの他施設共同研究として、PDT後の予後調査および食道癌の診断に使用した生検組織を集積した。治療抵抗性の症例に対して、免疫組織化学染色法を用いてPDT前後での薬剤耐性因子(P糖タンパク、BCRP、メタロチオネイン)の変化を評価した。評価にはGrading法(0~3)およびImage Jによる定量法を使用したが、いずれの方法でもPDT前後での有意な変化は観察されなかった。一方で、臨床データの解析から、患者の併存疾患の有無がPDTの奏功に関与することが明らかになり、この結果については、査読付きの英文誌に投稿中である。研究②: 胃癌細胞株を用いたin vitro実験でレザフィリンPDTと殺細胞性抗癌剤(SN38)の相乗効果評価を行った。未分化型胃癌細胞株(HGC-27)および分化型胃癌細胞株(MKN-74)を使用し、レザフィリン(Talaporfin sodium: TS)と非レーザー型LEDライトを組み合わせたPDTによるSN38(抗癌剤)感受性の改善効果をMTT assayで評価した。②-1(TS-PDP単独療法によるIC50の測定)TS-PDP単独療法による未分化型胃癌細胞株(HGC-27)および分化型胃癌細胞株(MKN-74)のIC50値を求めた。HGC-27: 16.3μM、MKN-74: 21.4μM。②-2(低強度PDTとSN38の併用療法)未分化型胃癌細胞株は分化型胃癌と比較して、SN38に対する感受性が低い傾向があったが、低用量TS-PDTを行うことで分化型胃癌細胞株と同等の感受性が得られることが示された。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件)
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巻: - ページ: -
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