研究課題/領域番号 |
20K17697
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
三宅 謙太郎 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (40856283)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵癌 / メチオニン / プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
ヒト腫瘍細胞は増殖に必須アミノ酸であるメチオニンを必要とし、正常細胞に比べてメチオニン依存性が高いことが知られている。しかしメチオニン制限が腫瘍細胞にもたらす影響は、完全には解明されていない。メチオニン制限が膵癌細胞にもたらす生物学的変化を検証するため、通常培地とメチオニン制限培地で培養した膵癌細胞をMTT assay/cell countでそれぞれの群でcell viabillityを評価した。ヒト膵癌細胞株(Panc-1)を用いて通常mediumで培養を開始し、60% confluentに達した時点で、control培養群とmethionine制限群に分けて培養を継続し, 制限開始後24h、48h、96hで細胞を回収、MTT assay、cell countによってメチオニン制限群で腫瘍増殖が有意に抑制されていることが確認できた。次にメチオニン制限が膵癌細胞にもたらす分子生物学的変化を検証するために、通常培地とメチオニン制限培地で培養した膵癌細胞を回収し各タンパクの定量結果を,Progenesis QIを用いてオミックス解析を行った。次いでIPA(Ingenuity pathway analysis)解析を行った.IPA解析によって検出された複数の候補のうちSTAT3は膵癌増殖に関与するJAK2/STAT3経路の一部であり、WBやPCRでもメチオニン制限によってSTAT3が減少していることが確認できた。また、JAK2/STAT3 pathwayに関与するNF-kBに関しても同様にメチオニン制限群の細胞で発現量が減少していることが確認でき、メチオニンがjak/stat経路の調節に関わっていることが示唆された。当科で保有しているその他の膵癌細胞株(Mia-Paca2、Capan-1)でも同様にPCR、WTでSTAT3が減少していることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロテオーム解析によりメチオニン制限がjak/STAT経路の調節に関わっていることが確認できた。他の膵癌細胞でも同様の結果が得られており、動物実験での検証を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験でもメチオニン制限による腫瘍増殖抑制を確認し、免疫染色やPCR等でもjak/STAT系の蛋白発現の差を確認していき、論文化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
1万円以下の端数であり、今年度の物品費の購入に使用予定。
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