研究実績の概要 |
メチオニン制限が膵癌細胞にもたらす生物学的変化を明らかにするために、プロテオーム解析、IPA解析を行い、メチオニン制限が膵癌増殖に関与するJAK2/STAT3経路に影響を及ぼしていることが確認できた。前年度に検証したPanc-1以外のその他の膵癌細胞株(Mia-Paca2、Capan-1)においてもWBやPCRでメチオニン制限によってSTAT3が減少していることが確認できた。また、JAK2/STAT3 pathwayに関与するNF-kBに関しても同様に3種の膵癌細胞株でメチオニン制限群の細胞でその発現量が減少していることをNF kappab p65 ELISA Kit(#ab176648, abcam) を用いて確認した。 また、vivoにおいてもメチオニン制限の抗腫瘍効果を検証すべく、ヌードマウスの皮下にMiaPaCa-2を移植し膵癌皮下腫瘍モデルを作成した。メチオニン制限の抗腫瘍効果を検証した。作成したMia-Paca2皮下腫瘍マウスを、通常食群とメチオニン制限群の2群に分け、皮下腫瘍の大きさ、体重を4週間にわたって計測した。メチオニン制限食はResearch Diet, Inc (#A11051301B)から購入したものを使用した。メチオニン制限群は通常食群と比較して有意に腫瘍の縮小を認めた。実験期間中、両群間の平均体重に差は認めなかった。また、両群間の切除検体を免疫組織学的染色でSTAT3発現に関して抗STAT3抗体 (#ab68153, Abcam)を用いて染色し、比較検討したところ、メチオニン制限食群では有意にSTAT3は発現の減少を認めた。
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