癌の進展には転写因子NF-κBを介した炎症のメカニズムが密接に関与するが知られているが、既存の抗NF-κB阻害薬は副作用が強いことが課題である。我々は、ハナショウガ由来の天然化合物Zerumbone(ZBN)に着目し、細胞実験において、ZBNがNF-κBの活性を低下させ、癌の血管新生を抑制することを報告した。しかし、消化器癌に対するZBNの動物実験の報告は少なく、その効果や副作用は未知であった。本研究で、マウスにおいてZBNは生体組織への悪影響が少なく、膵癌に対する抗癌作用を確認できた。今後、他の消化器癌でもZBNの抗癌作用を確認できれば、消化器癌の新たな治療薬の開発に寄与できると考える。
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