研究課題
本研究では、膵液瘻予防効果における膵断端処置具の自動縫合器法に対する優位性を検証すること、本器具や自動縫合器法が膵に与える病理学的変化を評価し、膵液瘻の病態解明に繋げることを目的とする。本年度は、生体吸収性ポリマーで作成した本器具の膵液瘻予防効果の実証実験を中心に行った。(A)本器具(生体吸収性ポリマー)の膵液瘻予防効果(術後1週間)の検証(In-vivo):(方法)実験ブタを用いた膵体尾部切除術において、動脈血流を温存しながら本器具で膵断端を閉鎖し、1週間生存させた後に剖検した(2例)。(結果)1週間後の造影CTで膵断端、結紮部の造影効果を認め、血流温存が確認された。剖検では腹水アミラーゼ値上昇を認めず、膵液瘻を認めなかった。病理学的には、膵断端に正常膵組織が広範囲に存在していた。(B)本器具(生体吸収性ポリマー)の膵液瘻予防効果(術後1ヶ月)の検証(In-vivo):(方法)実験ブタを用いた膵体尾部切除術において、動脈血流を温存しながら本器具で膵断端を閉鎖し、1ヶ月生存させた後に剖検した(1例)。(結果)経過中の造影CTでは膵断端の造影効果を認め、膵周囲の液体貯留を認めなかった。1ヶ月後の剖検では腹水アミラーゼ値上昇を認めず、膵液瘻を認めなかった。病理学的には、膵断端の膵組織は正常で、壊死を認めなかった。以上の結果から、本器具による膵断端閉鎖は十分な膵液瘻予防効果、膵壊死予防効果があると判断した。本研究で得られた知見をもとに、学会発表、論文作成を進めている。
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Cureus
巻: 13(9) ページ: e18238