研究課題/領域番号 |
20K17707
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
諫田 朋佳 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (20836126)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Vector Flow Mapping / Cardiac output / Echocardiography / 4D flow MRI |
研究実績の概要 |
術中に心エコーを行うために、麻酔科医師と協議して、麻酔導入から執刀の間に経胸壁心エコーを行うテストを行った。また、通常業務で心臓手術中は経食道心エコーを行っている。経食道心エコーは、経胸壁心エコーに比べて鮮明な画像が得られる利点があり、今回新しい心拍出量測定法を開発するにあたり、良質なデータを得られる可能性がある。通常の手術業務での経食道心エコーを行いながら、麻酔科医や循環器内科医と相談して経食道エコーでの適切な描出角度についての検討を重ねた。術後、集中治療室で心エコーを行うため、常設されているエコー装置を用いる。術後頻回に同装置を占用するため、同装置を使用している循環器内科と協議を行い、安定して装置使用ができる環境づくりを行った。2次元血流速度ベクトルから心拍出量を算出するために考案したモデルについて、千葉大学工学部生物機械工学研究室との会議を行い、妥当性について相談し、使用に耐えうるモデルであるとのコメントを得た。 Vector flow mappingソフトウェアについては、科研費の支援を受けて導入することができた。4D flow MRIを撮影するために放射線科医や診療放射線技師との会議を行い、撮影時期や撮影方法について協議した。当初は本研究において科研費の支援を受けて4D flow MRIソフトウェアを導入して解析する予定であったが、放射線科との共同研究体制を構築することができたため、放射線科において新たに導入するソフトウェアを使用して4D flow MRIを撮影できることとなり、研究費の効率的な利用につながった。 千葉大学臨床研究開発推進センターとの会議を行い、試験デザイン等に関する支援を受けた。統計解析の計画について、千葉大学医学部附属病院臨床試験部生物統計室と会議を行い、支援を受けた。MRI撮影の費用について、千葉大学医学部附属病院医事課との調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を実現するために、麻酔科、循環器内科、放射線科、千葉大学工学部、病院医事課、臨床試験部などとの協議を必要とした。それぞれの協議については各部署の多大な協力を得て、順調に進めることができた。しかしながら、全体として調整には多大な時間を要し、研究進捗に遅れを生じてしまったことは否めない。また、折しも新型コロナウイルス感染症の流行に対する対応により、日常臨床業務の負担増大を来たしたことや、検査や手術の制限が行われた。感染拡大防止のために対面会議からオンライン会議への変更に対応する必要があったことなども進捗の遅延に影響を与えたと考えられる。 また、研究の技術的な問題については、エコー装置から画像データを抽出するためのEchoPAC PCソフトウェア(GEヘルスケアジャパン社)のバージョン更新があった。当院に導入されている旧バージョンのソフトウェアでは当院のエコー装置からvector flow mappingに必要なraw dataが抽出できないことが発覚した。この問題の解決のため、GEヘルスケアジャパン社に依頼して新バージョンソフトウェアを利用できる体制とした。その後に当院においてテストを行ったが、新バージョンソフトウェアの欠陥によって、同様にraw dataが出力できないことが発覚した。この欠陥をGEヘルスケアジャパン社に報告し、近日中に解決される見込みである。 また、折しも千葉大学医学部附属病院では新中央診療棟の開設があり、手術室や集中治療室、MRI装置の移設を伴った。各施設の運用変更や調整があり、研究の進捗に影響を与えた可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進捗には新型コロナウイルス感染症の流行による感染拡大防止策の必要性や、通常診療業務の負担増大が大きな影響を与えたと考える。これまでの関係各部署の取り組みにより、当院における対応方法は確立されつつあり、日常臨床業務への影響も徐々にではあるが限定的になりつつある。したがって、院内各部署との連携を強化しつつ、今後は本研究を推進することができると考える。 本研究の主たる技術的な問題点については、前述のとおりEchoPAC PCソフトウェアについての不具合であるが、これはすでにGEヘルスケアジャパン社に報告して改善を依頼しており、近日中に解決して再度テストを行う見込みである。 前述の理由等により、本研究のデータ収集開始のために必要な倫理委員会への手続き等が遅延しているが、前述の通り、本研究を推進するための環境は改善されつつあるので、今後は推進可能であると考える。令和3年度は、データ収集を開始し、研究の前半部分であるvector flow mappingによる心拍出量測定方法の妥当性の検討を行い、続いて、研究の後半部分である、改良したモデルによる実証を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
各部署との調整および多大な協力を得て本研究が実現する。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために対面会議からオンライン会議への変更や検査・手術の制限など研究の進捗の遅延に影響を与えた。 以上の理由から当初の見込み額と執行額が異なっているが研究計画に変更はなく、次年度使用額も含めて当初の予定通りの計画を進めていく。令和3年度は、データ収集を開始し、研究の前半部分であるvector flow mappingによる心拍出量測定方法の妥当性の検討を行い、続いて、研究の後半部分である、改良したモデルによる実証を行う計画である。
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