研究課題
本年度に、2頭のカニクイザル自家移植実験を実施した。2021年度の試験において、GCaMP導入自家iPS細胞由来心筋細胞を、マトリゲルを用いたProsurvival Cocktailを使用して細胞移植を行ったが、1ヶ月後の心摘出時において、組織学的にグラフト部分に強いリンパ球浸潤を認めた。GCaMPおよびマトリゲルに対する免疫反応と判断し、遺伝子導入を行っていないiPS細胞を用いて心筋細胞を再作成、マトリゲルを用いずに移植する方針に変更した。本年度は、まず上記移植方法で1頭の試験を実施したが、1ヶ月後の心臓の組織学的所見にて、上記よりは軽度であるもののやはりグラフトに一致してリンパ球浸潤を認めた。このことから、自家細胞であってもその細胞性質の違いなどにより免疫反応が惹起された可能性があると考えられた。このことから、次の試験においては免疫抑制剤としてカルシニューリン阻害剤、CTLA-4Igを短期間使用することとした。このプロトコールで1頭の自家移植試験を実施したところ、移植後1ヶ月の時点で明らかな免疫反応なくグラフトの良好な生着を確認した。今後は、本年度に確立したプロコールにより、自家移植の追加試験、他家移植における免疫反応の確認を実施する予定である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Heart Lung and Circulation
巻: S1443-9506(23)00108-7 ページ: 1-8
10.1016/j.hlc.2022.12.014