研究実績の概要 |
本研究代表者らはこれまでの研究でマウス心移植モデルを用いた実験で、炎症反応が急性拒絶反応に関与していることを示し、炎症性サイトカインは虚血再灌流障害や、同種免疫反応に関与していることを示してきた。近年、ヒトの心移植後急性拒絶反応とインフラマソームが関連することが報告され、その原因として注目されている。本研究は、心移植後急性拒絶反応における炎症反応の影響を、インフラマソームの構成成分であるNOD-like receptor family,pyrin domain containing protein 3 (NLRP3) の解析により明らかにすることを目的とした。まず、マウス心移植急性拒絶モデルを作製し、C57BL/6 (H-2b)の同種間の心移植モデルでの虚血の評価とNLRP3の発現を検討し、一定の目途をつけることができることができた。ついで心移植とそれに伴うNLRP3の役割を評価するため、OGG1ノックアウトマウスを用いた異所性心移植モデルを確立した。このモデルを用いて、移植心の生着率と組織学的比較(HE染色にて炎症細胞浸潤や心筋障害の程度を観察し、Rejection Scoreを測定)を行った。また、免疫組織学的検討(NLRP3,CD31,CD4,CD8)について解析した。また慢性期移植後21日、42日に摘出した移植心において、両群での組織学的、免疫組織学的解析を行っている。
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