研究課題
前年度は、貪食を回避するための膜表面分子CD47を持つエクソソームを作製したところ、CD47を持つエクソソームは、THP-1による貪食から回避できる結果であった。この結果から、エクソソームには、貪食を回避するための膜表面分子CD47だけではなく、血管新生を促す作用を促進させる分子をエクソソームに持たせることで、これまでよりも高い治療効果を誘導するエクソソームを作製できるのではないかと考えた。研究代表者が所属研究室では、エクソソームを経静脈投与で虚血周辺組織に集積させるためのリガンドを同定していることから、本研究では、そのリガンドをエクソソーム膜に提示する配列を不可したベクターを作製した。そして、貪食を回避するための膜表面分子CD47を発現するベクターと、エクソソームを経静脈投与で虚血周辺組織に集積させるためのリガンドを発現するベクターを細胞に導入するのに最適な割合を決める為の実験を実施した。無血清培地を使用して細胞にベクターの割合を振って実験したところ、貪食を回避するための膜表面分子CD47を発現するベクターは、細胞に導入するベクターの2割以上であれば、THP-1による貪食を回避できる結果であった。これらの結果は、生体に投与されたエクソソームがマクロファージなどの貪食から回避可能であり、更に、naive エクソソームよりも治療効果の高い人工的エクソソームによる血管新生療法が可能であることを示唆するものであると考えられる。
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American Journal of Translational Research
巻: 13 ページ: 9495-9504