研究課題/領域番号 |
20K17731
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 憲治 日本医科大学, 医学部, 講師 (20623341)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 右室流出路再建術 / 肺動脈弁付き人工血管 / 血栓形成 / 弁機能不全 |
研究実績の概要 |
令和2年度の我々の研究では、弁葉の開口は概ね十分であったが人工血管後壁に縫合しているヒンジ部分の開口が十分でないことが判明したため、これについてはデザイン変更の余地があると考えられた。そのため我々は以下の要領で新たに構造を追加し、新しい弁付き人工導管を開発した。 1、人工導管前後壁両方に弁葉を縫着し、弁葉の強度を保持する。 2、bulging sinusを人工血管前後壁の弁葉縫着部分に形成し、拡張期血流を同部位に取り込むことにより弁尖の十分な閉鎖を促す。 今回開発した二葉弁導管(直径14mmのePTFE製人工血管に圧さ0.1mmのePTFE製シート弁尖を縫着;S-conduit)と通常の3弁構造を模したePTFE製三葉弁導管(直径14mmのePTFE製人工血管に圧さ0.1mmのePTFE製シート弁尖を縫着;O-conduit)について動態を観察した。 各導管を乳児期の血行動態を模した右心系模擬循環回路(流量700ml/min、肺動脈圧20-30/7-8mmHg)に組み込み、圧較差と逆流率について評価した。この結果心拍数100/分、120/分、140/分において、弁前後の圧較差(mmHg)はS-conduit11.1、13.6、17.7、O-conduit13.4、15.0、17.3、逆流率(%)はS-conduit14.7、13.6、14.2、O-conduit21.7、19.4.17.7であった。 圧較差および逆流率において今回開発した二葉弁導管(S-conduit)は通常の3弁構造を模した三葉弁導管より弁機能に優れる可能性が示された。上記結果の一部は66th ASAIO(the American Society for Artificial Internal Organs) Annual Conferenceで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初直径10,12、14、16、18、20㎜の6種類のePTFE製人工血管で観察を行うこととしていたが、新型コロナウイルス感染症対策による研究室の立ち入り制限により1サイズでの観察・解析となった。
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今後の研究の推進方策 |
アクリルなど透明な素材で弁付き人工血管モデルを作成し、これを循環シュミレータに組み込み、レーザー照射による可視化装置を用いて動態下での構造解析を行う予定である。さらに回路内流体を血液製剤などより生体に近い素材を用いて、各種測定および観察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、令和3年度発表予定の学術集会への参加発表の中止を余儀なくされた。次年度は得られた知見をもとに学術集会および論文にて適宜発信していく予定である。 アクリルなど透明な素材で弁付き人工血管モデルを作成し、これを上記循環シュミレータに組み込み、レーザー照射による可視化装置を用いて動態下での構造解析を行う予定である。さらに回路内流体を、血液製剤などより生体に近い素材を用いて、各種測定および観察を行う。これらの遂行のために相応額の助成を必要としている。
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