本研究は免疫の司令塔であるT細胞に着目し、解離の病態との関連を調査した。我々はβ-アミノプロピオニトリルおよびアンジオテンシンIIの持続注入により大動脈解離のマウスモデルを作成した。免疫抑制分子Sykの阻害薬を投与した解離モデルマウスの大動脈組織に対して遺伝子解析を行った。その結果、制御性T細胞のマスター転写因子であるFoxp3が有意に抑制されていた。傍大動脈脂肪組織に対する遺伝子解析により解離発症前に傍大動脈脂肪組織では顕著な免疫応答の変動が起こっていた。解離病態において大動脈組織と傍大動脈脂肪組織は空間的に近接しており、1つの免疫応答システムとして働いていることが示唆された。
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