研究課題/領域番号 |
20K17734
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
石田 治 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 外科, 講師 (20365266)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血小板 / 人工血液 / 心臓血管外科 / 人工心肺 / 凝固障害 / 大量出血 / 輸血製剤 |
研究実績の概要 |
心臓血管外科術後の大量出血は比較的高頻度に生じるが、手術成績の悪化や医療費の負担増をもたらす。背景に人工心肺後凝固障害など複数の要因が関連した病態があり、最終的な対策は輸血療法に依存せざるを得ない。心臓血管外科手術における輸血製剤使用量は極めて多く、これを低減させることは社会的にも求められるが、血液代替物の実用化は解決策となる可能性がある。研究協力者らが開発したH12-(ADP)-リポソームは、完全合成による血小板代替物である。平成30年度若手研究「血小板代替物による人工心肺後凝固障害の制御(18K16407)」において、ウサギ人工心肺モデルにおいてもH12-(ADP)-リポソームの投与が血小板凝集を促進し止血能を向上させることを示した。これを受け、実臨床においてH12-(ADP)-リポソームの投与が心臓血管外科術後出血を抑制し輸血必要量を低減させる可能性があると考えた。心臓血管外科術後出血制御を目的としたH12-(ADP)-リポソーム投与の臨床応用にむけた具体的な検討を行うことが本研究の目的である。本年度はH12-(ADP)-リポソーム臨床治験の実現に向けた事前検討として、人工心肺を用いた心臓血管外科手術患者を対象に周術期の血液検体を用いて、① 凝固障害の詳細な解析、②生体外でH12-ADP-リポソームが凝固障害に与える影響の検討を行う臨床試験のプロトコールを策定し、院内倫理委員会にて実施の承認を得た。次年度ではこの臨床試験を推進してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はH12-(ADP)-リポソーム臨床治験の実現に向けた事前検討を行う臨床試験のプロトコールを策定し、院内倫理委員会にて実施の承認を得た。次年度ではこの臨床試験を推進してゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床試験で投与可能なGLP基準に合致したH12-(ADP)-リポソームの製造に2~3年間ほど要する見通しであり、次年度では事前検討を行う臨床試験を推進してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術集会等が軒並みオンライン開催となり旅費が必要でなくなったため。
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