研究課題/領域番号 |
20K17735
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
角田 宇司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (50869659)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心房細動 / F波 / メイズ手術 |
研究実績の概要 |
心房細動 atrial fibrillation (AF)に対するMaze手術は、術後の洞調律維持と脳血管合併症予防、QOL向上のために,確立された治療法であり、世界的なガイドラインで推奨されている。Maze手術後の心房細動再発を予測する因子として,AF罹患年数と左房径もしくは左房容積の重要性が報告されているが,当院ではf波波高に注目しその重要性をこれまで報告してきた.しかし,そのエビデンスは乏しく,世界的にはf波に対して一定のコンセンサスを得られていないのが現状である.本研究は術中の右房・左房電位を実際に測定し,また切除された左心耳の線維化の程度を測定することでf波波高と心房構造的リモデリングならびに電気的リモデリングの関係性を明らかにするものである.それに加えて,心房のmRNAを測定し,今後の心房リモデリングに対する遺伝子的な治療法を探索する.f波は術前の安静時心電図から容易に得られるパラメーターであり,そのエビデンスを構築することは心房細動に対する外科治療の質向上に繋がりうると考えられる.研究計画書を当院の臨床倫理委員会にて審査し、倫理的指針を遵守した上で、現在術中心房電位の測定ならびに両心房組織のmRNA検体採取は、17例まで達成できており、初期の10例についてはmRNAの解析を東レ社においてmRNAマイクロアレイ解析を行なっているところである。最終年度である次年度は目標の30例まで検体採取を行い、統計学的解析を行い結果を論文化する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究は順調に進展している。現在術中心房電位の測定ならびに両心房組織のmRNA検体採取は、17例まで達成できており、初期の10例についてはmRNAの解析を東レ社においてmRNAマイクロアレイ解析を行なっているところである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度は目標の30例まで検体採取を行い、統計学的解析を行い結果を論文化する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,今回の助成金の多くは,mRNA測定に使用するためであり、施行した症例数に応じて使用額が変動するためである。昨年度は,術中直接電位測定のパイロット的研究と研究計画書の作成、倫理委員会承認が研究進行の大部分であったため,助成金を消費することなく次年度使用額が生じた。今年度は多くのmRNA解析を行う予定としており、mRNAの網羅的解析を行うのに1症例約10万円を要するため、今年度で繰越分を使用する予定としている。
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