研究課題/領域番号 |
20K17742
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
江口 隆 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (50447744)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経気腔進展 / STAS / 肺癌 / 転移 / TMA / 微小環境 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
【データベース作成・病理】当院で過去10年間に原発性肺癌に対して肺切除を行った1024例の臨床所見・病理所見のデータベースを作成し、肺癌の経気腔進展(STAS)および関連する病理所見を調査している。現在まで、臨床所見は全例、病理所見の詳細は300例のデータが完成した。 【Tissue microarray(TMA)作成】上記の病理所見からTMA作成可能な症例を選択し、TMAを作成中である。現在まで腺癌60例、扁平上皮癌15例のTMAが完成した。 【多重免疫染色による微小環境評価】上記のTMAを用いて、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、CD20陽性B細胞、FoxP3陽性T細胞、CD68陽性マクロファージ、パンサイトケラチン陽性細胞(腫瘍細胞)を1枚の病理スライド上で同時に染色し、それらの細胞密度や腫瘍浸潤などを評価している。これまで予備染色を終え、現在はTMA標本を用いて解析中である。 【凍結標本によるSTAS評価】STASを術中に診断することで、切除範囲の決定に有用な情報を提供することができると考え、OCTコンパウンドを用いた凍結切片でのSTAS診断の実現可能性について調査している。これまで50例について調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TMA作成、微小環境評価について、ほぼ予定通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、STASの機序の解明を目指して、解析を進めていく必要がある。具体的には、多重免疫染色の解析と、他の免疫細胞浸潤や腫瘍抗原の発現についても調査する。TMAはもうすぐ目標症例数に到達するが、現状ではそれを超えて作成可能と考える。調査結果から機序解明に有力な腫瘍抗原などが発見されれば、組織3次元評価も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:学会参加のための旅費に使用予定であった費用が、ウェブ開催のため必要なくなったため。
使用計画:次年度使用額は学会発表および消耗品に使用する予定である。
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