研究課題
【データベース作成・病理】当院で過去10年間に原発性肺癌に対して肺切除を行った1024例の臨床所見・病理所見のデータベースを作成し、肺癌の経気腔進展(STAS)および関連する病理所見、予後などを調査した。【Tissue microarray(TMA)作成】上記の病理所見からTMA作成可能な症例を選択し、TMAを作成中である。原発性肺癌301例のTMAが完成した。【多重免疫染色による微小環境評価】上記のTMAを用いて、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、CD20陽性B細胞、FoxP3陽性T細胞、CD68陽性マクロファージ、パンサイトケラチン陽性細胞(腫瘍細胞)を1枚の病理スライド上で同時に染色し、それらの細胞密度や腫瘍浸潤などを評価した。特に、免疫細胞の腫瘍辺縁部と腫瘍中心部の差に着目し、CD8陽性T細胞など抗腫瘍免疫細胞が腫瘍内に移行できない特徴を有する症例は予後不良であること発見した。また、STAS陽性肺癌症例において、腫瘍辺縁部におけるFoxP3陽性T細胞の存在が予後規定因子であることも見出した。本研究結果は2022年8月にウィーンにて開催される世界肺癌学会で発表し、現在論文投稿し(Heliyon)、Major Reviseに対する再投稿を行ったところである。【凍結標本によるSTAS評価】STASを術中に診断することで、切除範囲の決定に有用な情報を提供することができると考え、OCTコンパウンドを用いた凍結切片でのSTAS診断の実現可能性について調査した。114例について調査を終え、我々の方法により、これまでの報告よりも良好な感度・特異度が得られることがわかった。本研究結果は2022年8月にウィーンにて開催された世界肺癌学会で発表し、JTCVS Techniqueにアクセプトされた。
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JTCVS Techniques
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10.1016/j.xjtc.2024.02.014