研究成果の概要 |
本研究の目的は腫瘍浸潤リンパ球と患者由来腫瘍組織移モデルを用いて個々のがん患者に適合したがん免疫療法効果予測モデルを開発することである。患者由来腫瘍組織移モデルの開発までは至らなかったが, 手術で摘出したがん組織から腫瘍細胞と腫瘍浸潤リンパ球を分離し, 免疫チェックポイント阻害剤と共に共培養し, インターフェロンγの活性度を測定した。その結果, 同薬剤投与によるインターフェロンγの活性度は患者毎に異なっていること, 全体的な傾向としてコントロール群と比較して活性度が上昇している傾向が確認できた。今後本結果と実際に免疫チェックポイント阻害剤を投与した患者での反応の比較を行う予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん免疫療法の導入により本邦のがん治療は大きく変化した。しかしながら同治療の課題として非常に高価である点と効果予測の困難な点が挙げられる。これまでも遺伝子変異量,PD-L1発現率,喫煙歴,EGFR遺伝子変異の有無などが報告されてきたが,これらの因子ががん免疫療法の効果と強く相関するとは言えず,より確実で信頼性のある効果予測因子やモデルが求められている。本研究成果における免疫チェックポイント阻害薬投与によるインターフェロンγの活性度の増減が, 実際の免疫チェックポイント阻害剤の治療効果と関連していれば, 症例より効果の期待できる患者に選択的にがん免疫療法を適応させることが期待される。
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